第3章 欠落
仕事終わりで家に来ることが増えた翔さん。
何するわけでもない…
ただ家に来て食事して話をして帰っていく。
そんな時間を過ごしながら翔さんの気持ちが俺に向いてくれるのを待った。
今まで過ごしてきた大野さんとの時間を全て清算出来たら俺の事を見てくれるかなって思ってたんだ。
いつからだろう…翔さんの心が壊れ始めたのは…
俺はその事に気がつけなかった。
いつものように家に来て、食事して帰ると思ってたのに
「ねぇ、ニノ…今日は泊まってっていい?」
「翔さん?どうしたの?別に構わないけど」
「ありがと」
そう言って微笑んでいるのに翔さんの目には生気がない。
少し前から様子がおかしかった。
でもいつから翔さんの目から輝きがなくなった?
「ちょっと待っててね、お風呂の準備してくるから」
「うん…」
翔さんに着替えを貸し、お風呂に案内して翔さんの寝床の準備をする。
お風呂から上がってきた翔さんは憂いを含んでいて、艶っぽくてドキッとした。
「翔さん、この布団使って?俺も風呂入ってくるから先に寝てていいからね?」
そうして貰わないと俺がヤバい。
翔さんが俺を好きになってくれるまで手は出さないと決めてるんだ。
俺は大野さんとは違う、そう翔さんに知ってもらいたくて。