第3章 欠落
智くんの様子がおかしいことにはすぐ気がついた。
智くんが早く楽屋に着いた日…
ふたりで話していたところにニノが来て、ニノと話しているときに智くんに目をやると悲しそうな目をしてた。
一瞬目が合った気がしたんだけど、直後に入ってきた相葉くんに気を取られ
その後は普通にしてたから気のせいかと思ってた。
でも、その後から会うたびに智くんの表情が変わっていったんだ。
笑顔なんだけど、違和感がある。
他のメンバーは気付いてないみたいだからそんなに気にする程でもないのかな、とは思ったんだけど
ニノと松潤がメイクに行き、相葉くんがトイレに行ってたまたまふたりきりになったから、さりげなく聞いたんだ。
「大野さん、最近調子悪い?」
「ん~、そんなことないよ」
やっぱり微笑んで答える智くん。
「そう?なんか悩んでたりするんじゃないの?」
「なんでそう思うの?」
「表情…」
「表情?」
「なんかいつもの大野さんの笑顔じゃない…」
「そっかぁ…翔くんはそんなところまで見てるんだぁ」
そう言う智くんの顔が泣きそうに見えた。
「…やり直せたら良いのに…」
智くんがポツリと呟いた。
「え?」
「あの日からやり直せたら良いのに…
そしたら、同じ間違いは絶対しないのに…」
智くんの表情があまりにも苦しそうで思わず手を伸ばして頬に触れた。