第2章 恋心
今日は大野さんとふたりの取材…俺はあの人に釘を刺そうと決めていた。
あの日…翔さんの腕を掴んだ大野さんを見た時、嫌な予感がした。
大野さんの瞳に今までと違うモノが見えたから。
冗談じゃない。今更なんなんだよ。
散々翔さんを傷つけてきたくせに…
失ってから気づいても遅いし、俺も手離す気ないから…
思った通り口には出さないけどあの人は翔さんを手離した事を後悔していた。
それでも俺に『幸せにしてやって』なんて言う。
なんであんたがその台詞言うかなぁ…この十数年翔さんを傷つけてきたあんたが…
腹が立って仕方がない。
それでも、翔さんを取り戻そうという思いが無いことだけがありがたかった。
もし、この人が本気で翔さんを取り戻しに来たら俺はきっと敵わないだろう…
翔さんのことを『あんな綺麗な人はいない』って言った時同意した大野さんを見て嫌な予感が確信に変わった。
その時の大野さんの表情に愛情が見えたから…
翔さんを手離して後悔したのは体だけじゃなかったんだ。
翔さんの想いに気づいた?そして、自分の気持ちにも…
その事に関しては予想外だった。
大野さんが本気で人を好きになるとは思ってなかったから…
それでも、取り戻そうとしないのは自分のしてきたことに罪の意識があるんだろう。
だから『幸せにしてやって』だったんだ。
今頃?もう少し早ければ俺だって身を引いたのに…
翔さんが大野さんから離れる決意をした今となってはもう遅いよ。
俺だってあの人を手に入れたいんだ。
早くあなたの事を忘れて貰って心も体も俺のモノにしたい。
あなたと違って俺は初めから体だけが目的じゃない…
だから、心を手に入れるまでは翔さんに手は出さないって決めてる。
お願いだから、俺の邪魔はしないでそのまま大人しくしといてよ…大野さん。