第10章 誓言
番組収録が終わった楽屋で、翔さんが帰る準備をしているといつもの如く声が掛かる。
「翔、準備できた?」
「あ、うん、出来た…
でも今日はみんなも一緒に帰るよ?」
「あ~、そうだった」
「え?大ちゃん忘れてたの?ひど~い」
「ほんとだよ、リーダー…翔くんさえ居ればいいんだから」
「まぁまぁ、今に始まった事じゃないでしょ?
このおじさんが翔さんしか見てないのは」
「でもさぁ、前から約束してたんだから忘れないで欲しいよねぇ」
「だよな?折角引っ越し祝いしてやるって言ってるのに」
「誰も頼んでねぇし」
「智くんっ、みんなに失礼だから」
「もう、翔さん出来た嫁~。
あー、やっぱりこんなおじさんに渡さないで、俺が貰い受ければ良かった」
「させねぇよ!」
「ふんっ!偉そうに!
翔さん手放そうとしてた人が何言ってんだか」
「お前もしつこいな、そんな過去の話しいつまでもしてんなよ」
「一緒に暮らし始めたからっていい気にならないでくださいね?
翔さん泣かせたら奪い取りますからね」
「わかってるよ」
「ならいいんですけど」
「ほら、もう帰るよ?智くん」
大野さんと翔さんが付き合い始め1年が過ぎ
ふたりが一緒に住むと言い出し、事務所は大騒ぎになった。
猛反対するスタッフたち、それでも頑として引かなかった大野さん。
騒ぎを聞き付けた社長が『いいんじゃない?Youたちが幸せなら』の一言で方がついた。
最高級のセキュリティを持つマンションを用意され、ふたりはご機嫌で引っ越しをした。
ふたりで居られるなら場所なんてどこでもいいんだろうしね。
今日はメンバー皆でお祝いしようと、ふたりの住むマンションにお邪魔する約束をしてた。