第9章 深愛
智くんが抱きしめてくれてる。
もう来ることのないと思っていた智くんの部屋で。
諦めないで良かった…智くんの事想い続けてて良かった。
遠回りはしたけど
ニノを巻き込んでしまったけど
それでもこうして智くんと一緒にいられることを幸せだと思う。
俺の事思って身を引いてくれたニノの為にも智くんと幸せになろう。
これから先も今まで以上に智くんの事愛し続けよう。
智くんが俺から体を離した。
「さてと、感謝のハグは終わりね?
ここからは恋人としての時間…お預け食らった分覚悟してよ?」
智くんが楽しそうに笑った。
「…お預け食らったのは智くんだけじゃないよ…」
小さな声でそう告げると、智くんは一瞬目を見開いたけどすぐに嬉しそうに微笑んだ。
「そっか、そうだよね…じゃあ行こうか」
智くんに手を引かれリビングに入るといきなり後頭部を押さえられ唇を塞がれた。
すぐに舌が入り込み絡め取られる。
「んっ…ふ、ん…」
智くんの背中に腕を回し抱きしめた。
執拗に繰り返されるキスが気持ち良くて
智くんの唇が離れていく時、惜しむように見つめた。
「どうする?このままベッド行く?」
智くんの瞳の奥に静かな炎が見えた。
すぐにでも智くんで満たされたい…
でも綺麗な体で気兼ねなく愛されたい。
「シャワー貸して」
「いいよ、じゃあ一緒に入ろうか?」
「え?なんで?今までそんな事したことないじゃん」
「今まではなくてもこれからはしたっていいでしょ?恋人なんだから」
俺の返事を待たずに手を引いてバスルームに向かった。
「ほんとに一緒に入るの?」
「入るよ?駄目なの?」
「駄目じゃないけど、なんか恥ずかしくない?」
「全然…なんで恥ずかしいの?」
「だって、明るい所で裸見られる事ってないじゃん」
「明るい所ではなくても、暗い所なら数えきれないくらいあるでしょ?」
智くんがニコっと笑った。
それはそうなんだけど…