第1章 後悔
俯く翔さんから涙が溢れるのが見えた。
そっと抱きしめると翔さんもしがみついてくる。
「翔さん…翔さんが大野さんを忘れられるように協力するから、だから…もうやめよ?
傷つく翔さんをこれ以上見ていたくない…」
「ニノ?」
翔さんの体を少し離し瞳を見つめた。
「翔さん…俺は翔さんの事が好きです。
だから、翔さんに幸せになってほしい、そう思ってきた。
相手は俺じゃなくていいんだ
翔さんさえ幸せになってくれれば誰でも…
でも、もう大野さんは止めよ?あの人は無理だ。
ひとりの人間を想い続けられるタイプじゃない…
この先もずっと翔さんは泣かされ続ける事になる…
だから、翔さんに好きな人が出来るまで俺が側にいるから、あの人だけは諦めて」
「ニノ、ごめん…俺ニノの気持ち知らないで、酷いことしてた…」
「いいんだよ…それこそ俺が望んだ事なんだから。
傷ついてる翔さんをひとりになんか出来なかった」
「ありがと…ニノ」
そう言う翔さんの目から涙が溢れた。
その涙を指で拭う。
「あぁ、もう泣かないで…明日ほんとに大変な事になるよ?」
「だって、ニノが泣かせるようなこと言うから…」
「俺のせい?」
「そうだよ!」
そう言うと翔さんは少し笑った。
そんな翔さんをそっと抱きしめる
「翔さん、これからは俺と一緒にいよう?翔さんが思った事を吐き出していいから…
無理に大野さんを忘れるんじゃなく、ゆっくり時間を掛けていいから…少しずつ気持ちを離していこ?」
翔さんが俺の背中に腕を回し抱きつくと、腕の中で小さく頷いたのがわかった。