第1章 後悔
翔くんから関係の終わりを告げられ、はじめはなんとも思わなかった。
翔くんがそう望むなら何か理由があるんだろう…
そうは思っても理由を知りたいとは思わなかったんだ。
それなのに時間が経つにつれ翔くんの事が気になり始め、目でその姿を追うようになった。
そして、気がついたんだ…
翔くんを見るニノの視線に。
普段、人に対してキツい言い方をするニノ。
でも、本当は凄く優しい奴だって知ってる。
そのニノの優しい視線が常に翔くんに向けられてる。
ニノは翔くんの事が好きなのか?
ニノの優しい視線を受け、微笑み掛ける翔くんを見て俺の心はざわついた。
俺と終わりにした理由はこれか…
そして気付かされたんだ…
自分の手放した物の大きさを…
今まで犯してきた自分の過ちを…
それから、もうどうすることも出来ない愚かな自分の過去を振り返った。
翔くんとの関係が始まったところから思い出して気が付く翔くんの想い。
始めから翔くんの想いは俺にあったんだ。
興味本意で始めた肉体関係も、翔くんにしたらなんのメリットもない。
俺だけが一方的に気持ちいいだけで翔くんには痛みしかなかったはずなのに…
それなのに翔くんは関係を続けようと言った。
俺に彼女が出来たって言った時も翔くんとのエッチの方が気持ちいいなんてポロっと溢したら『いつでも相手してあげるよ?』なんて笑って言うからその言葉に甘えてた。
その時その時、なんで翔くんがそう言ったのか考える事が出来ていたら、俺は翔くんを失わずに済んだのに…