第9章 深愛
飛行機に乗って東京に帰ってきて、知らされた衝撃の事実。
折角、翔くんとイチャイチャ出来ると思ったのに…
「あのね、智くん…今日、月曜日だった…」
そう…俺にしてみれば、ただの移動日だったけど、翔くんには毎週決まったお仕事があった…
少しでも、ふたりきりで過ごせたらと思っていたのに
「仕事に行く前に、病院へ寄るって、マネージャーが…」
そりゃそうだ。記憶が戻ったんだから、病院に報告がてら診察してもらった方がいい。
わかってはいる。わかってはいるけどさぁ…
朝、我慢しただけにしんどい。
がっくり肩を落とす俺に、翔くんが声を掛ける。
「ごめんね、智くん…」
眉毛を下げて俺を見つめる翔くん。
「いいんだよ…翔くんが仕事だって忘れてた俺も悪いし
それに翔くんは仕事だけど、俺は休めるんだから…
仕事頑張ってね?ちゃんと観てるから」
「うん。じゃあ、また明日」
笑顔で移動車に乗り込む翔くん。
「いってらっしゃい」
「いってきます」
走り出す車を、手を振って見送った。
「あ~あ、フラれちゃったんだぁ…可哀想~」
「ラブラブだったのにねぇ~」
「知ってました~?
あのふたり、飛行機の中でも手繋いでましたよ~」
「マジで~?」
「マジです~。ブランケットの下で、シッカリ握ってましたからぁ」
「なんでしってんだよ⁉」
相葉ちゃんと松潤に話すニノを振り返り、睨んだ。
「ほぉほぉ。ほんとに繋いでたんだ?さすがだな、ニノ」
感心する松潤。
「でしょ?絶対、あのおじさんが大人しく翔さんの隣に座ってる訳ないんだから…スッゴい顔デレてたし」
「もぉ、大ちゃんてばぁ…すぐ引っ掛かっちゃうんだからぁ…
他の人にはバレないように気を付けてねぇ?」
ニコニコと嬉しそうな相葉ちゃん。
ヤラれた…これからも、こいつらにからかわれるのか…
メンバーに話した事を少し後悔した。