第8章 真実
「幸せを感じられたのは、智くんに抱かれてるときだけだよ」
そう言った翔くんの表情は艶を放っていて、俺を誘っているようだった。
俺の中心に熱が集まる。
翔くんに軽いキスを落とすと、欲情に染まった潤んだ瞳で見つめられる。
「そんな目で見て…誘ってるの?」
そう聞くと、翔くんは恥ずかしそうに小さく頷き、腕を伸ばし俺の首に巻き付けた。
翔くんに引き寄せられるように唇を重ねた。
翔くんの咥内に舌を差し込むと翔くんの舌を絡めとり吸い上げる。
絡み合っては離れ、また絡み合う…こんなキスしたことなかったな…
何度も繰り返されるくちづけは
今までしてきたくちづけよりも激しくて
お互いがお互いを求めているのがわかる。
翔くんに触れられることがこんなに嬉しいことだなんて…
気持ちが繋がった状態で体も繋がる…
本来なら当たり前の事なのに、それが出来てなかった俺たち。
キスだけで幸せな気持ちが満ちてきて、身体の熱が昂る。
「ん…ふっ、んっ…」
俺の耳を擽る翔くんの喘ぎ声…
この声をまた聴けるなんて…
もっと聴かせてよ、翔くんの甘い声…
体に触れると翔くんの身体も既に熱くなっていた。
「んっ!」
身体がピクンと跳ねる…
唇を離して翔くんの顔を見ると少し瞼を開き俺を見る…
「はぁ、あ…ん…さと、しくん…」
うっとりとした表情で俺を見つめる。
「シャツ、脱いじゃおうか…」
コクンと頷く翔くんのシャツに手を伸ばした時…ドアをノックする音がした。
「大野さんおはようございます」
マネージャーの挨拶が聞こえた。
「マジか…最悪のタイミングだな…」
肩を落とす俺を見て、翔くんも苦笑いした。
「帰るまでお預けだね…」
「どうすんだよ、これ…」
俺は自分の下半身に視線を送った。
「ん~、まぁ、朝の生理現象ってことで誤魔化す?」
クスクス笑う翔くん…
「俺の場合はそれで済むけど、翔くんの顔はそれじゃ済まないから」
「へ?」
「そんな色っぽい表情してたらさぁ、バレちゃうよ?」