第8章 真実
智くんの胸の上にいたのに、気がつけば智くんが上にいる。
俺を見下ろす智くんの目は、さっきまでの穏やかな光ではなく
炎が燃えるような光。
「智くん?どうしっ…⁈」
智くんに問いかける間もなく、智くんの唇が落ちてくる。
久しぶりに受け止める智くんからのキスは、いきなり激しくて眩暈がしそうだった。
「んっ!」
受け止めきれなくて、自然と鼻から抜けるような声が出る。
更に深く追い詰められ、智くんのシャツにしがみついた。
「ふっ…ん…あっ!」
智くんの唇が、唇から首筋に移動して、チュッと音を鳴らす。
繰り返し繰り返し音を立てながら、俺の首に吸い付く智くん…
それだけで体の熱が上がってくるのがわかる。
こんなことしたことないのに…
「あっ、さと…し、く…」
無言で俺の体にキスを落としていく。
「あっ…や、め…」
「止めないよ?
ニノにどんな姿見せたの?
俺にも見せてよ」
智くんの瞳には、更に激しい炎が燃えている。
「さとしく、…おこ、てる?」
「うん。翔くんにじゃないよ?
俺自身に怒ってる…
もっと早く翔くんを好きなことに気がついてれば
ニノになんか、翔くんを抱かせなかったのに」
智くんの表情が後悔に曇った。
「ご、めん…俺がニノに抱いてって頼んだから…」
「違うよ。俺が悪いのはわかってるんだ…
ただ綺麗な翔くんの姿を、他の奴に見られたのが悔しくて…」
「智くんの好きなようにしていいよ?
ニノの時と同じような姿を見せる事は出来ないけど…
智くんが納得するまで抱いて?」
「俺の時とニノの時は違うの?」
「違うよ…全然違う…
ニノは優しくて温かかった…
でも、幸せを感じられたのは、智くんに抱かれてるときだけだよ」