第8章 真実
「そんな色っぽい表情してたらさぁ、バレちゃうよ?」
智くんの手が頬に触れる…
それだけで俺の体はビクンと跳ねた。
「ほら、これだけで感じちゃう…
もうどこ触られても気持ちいいんでしょ?」
智くんの手が頬をなぞり首筋に滑っていく。
「っん…」
満足げに微笑む智くん…
「翔くんは布団の中で寝たふりしてて」
智くんはベッドを降りるとドアに向かっていった。
俺が布団を深めに被るとドアを開ける音が聞こえた。
「ん、はよ…」
いかにも寝起きです、みたいな声で挨拶する智くん。可笑しくて笑いそうになった。
「すみません、まだ寝てらしたんですね」
「ん、大丈夫だよ…」
「櫻井さんの様子が気になったので…それにそろそろ帰る準備をしないと」
「あぁ、もうそんな時間?
翔くんはもう大丈夫だよ。
昨日、少し話したけど、全部思い出したみたいだし、夜も静かに寝てた…
起こしたら帰る準備させるから」
「わかりました。よろしくお願いします」
「はいよ~」
ドアの閉まる音が聞こえて智くんが戻ってきた。
布団にするりと潜り込み、俺の事を後ろからぎゅっと抱きしめる。
「智くん?」
「続きしよ?」
智くんの手がシャツの裾から入り込んできた。
「嘘でしょ?」
「なんで?本気だけど?」
「いや、時間ないって…あっ!」
智くんの手が優しく胸を撫でる。
「翔くんだってしたいくせに」
「でも、じか…あっん!智くん止めて…」
「触られるの気持ちいいんでしょ?」
「だから、そういう問題じゃないんだってば…
もっとゆっくりしたい
ちゃんと時間を掛けて愛し合いたいよ…」
そう言うと智くんの手が止まった。
くるりと体の向きを変えられ、正面から抱きしめられる。
「ごめん、そうだね…俺もそうしたい…
想いが繋がって初めてだもんね
体だけ満足させる為にするんじゃない」
そう言ってチュッとキスをして微笑む智くん。
「東京帰るまで楽しみに取っとくよ」