• テキストサイズ

あの日の君に 《気象系BL》

第8章 真実


「あぁ、またぁ…」

智くんの少し困った顔が目に入った。

「翔くん、昨日から泣きすぎ…
今日移動だけで良かったね?もう目が真っ赤っかだよ」

智くんが体を起こし、俺の涙を拭ってくれた。

「…だって…智くんが、泣かせてるんじゃん…」

「そっか、ごめん…
迷惑だよな、こんな事言われたら…
また悩ませちゃったか」

智くんが申し訳なさそうな顔をした。

「本気で言ってるの?」

「何を?」

「俺がまた悩んで泣いてると思ってるの?」

「うん。俺、ずっと翔くんの事泣かせ続けてるよな…
俺の知らないところでも、ひとりで泣いてたんだろ?」

ほんとに人の気持ちが解らない人だな。

「そうだよ!ずっとひとりで泣いてた!
それを見かねたニノが、支えてくれてたんだよ」

「やっぱり俺じゃなくて、ニノの方が翔くんの事、幸せに出来るのかも」

「それが出来るのなら、ニノと別れてないよ…
ニノの事好きになろうとしても駄目だったから…
他の人を想いながらニノに抱かれるのは、ニノに失礼だと思ったから
だから、ニノを傷つけるのを承知で別れたのに…」

悔しくなってきた…

なんで俺の『好き』って気持ちはこの人に届かないんだろう。

嬉しくて泣いてるのに、悩んでるなんて…

ニノの方が、よっぽど俺の気持ち理解してくれる。

……それでも、やっぱり俺が好きなのはこの人なんだよなぁと思うと
今度はなんだか可笑しくなってきた。

「ふふっ…」

「翔くん?」

急に笑い出した俺を、不思議そうな顔で見てる。

「もういいや。智くんには、はっきり言わないと駄目なんだよね?
智くんの事、誰よりも理解してるつもりだったのに
そんな基本的な事が出来なかった俺が悪い」

俺は起き上がり、ベッドの上で正座をした。

それに吊られて智くんも俺の正面で正座をする。

「智くん、大好きだよ。
これから先も、貴方以外の人を好きになることはない…
だから、貴方が俺の事を引き取ってくれないなら、俺はこの先死ぬまでひとりでいることになる
貴方はそれでいいの?」
/ 147ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp