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あの日の君に 《気象系BL》

第8章 真実


嘘だ…これは夢?俺はまだ目が覚めてないの?

智くんが俺の事を好きだなんてあり得ない…

「翔くん?怒った?」

何も言葉を発せずにいる俺の顔を、心配そうに覗き込む智くん。

手を伸ばし智くんの頬に触れる。

「…温かい…」

夢じゃないの?呟いた俺の体が、更に温かい温もりに包まれた。

「翔くん、ごめんな…愛してる…」

大好きな智くんの声が耳元で聴こえる…

俺を抱きしめる智くんの腕に力が込められた。

「さとっ……」

今起きてる事が現実なんだと思ったら、嬉しくて
声も出ないくらい泣きじゃくってしまった…

夢じゃなかった、この懐かしい温もり…

ずっと恋い焦がれたあの人から『愛してる』と告げられた。

智くんの背中に腕を回しぎゅっと抱きしめる。

気持ちが繋がっただけで、こんなにも幸せなんだ。

智くんの胸に顔を埋めると、智くんの手が俺の頭を優しく撫でてくれる。

気持ち良いのと疲れとで、俺はそのまま眠りに落ちてしまった。


朝、目が覚めると俺は智くんの腕の中で寝ていた。

やっぱり夢じゃなかった…

ほっと安心して、智くんのシャツをそっと握った。

すると俺の髪を智くんの手が撫でる。

「起きた?」

智くんの声が聴こえて、目を上に向けると智くんが微笑んでいた。

「起きてたの?」

「うん、翔くんがいるか心配になっちゃって…早く目が覚めちゃった」

「なにそれ?」

くすくすと笑うと、智くんの手が頬に添えられ顔を智くんの方に向けられた。

「だって俺、翔くんの気持ち聞いてないもん…
やっぱりニノの方が良いって思ってるかも知れないじゃん」

真剣な顔をした智くん…

そんな訳ないじゃん。それが出来なかったから、ニノと別れたんだよ。

「俺がニノを選ぶって言ったら、智くん、どうするの?」

俺の事諦める?俺は貴方の事諦められなかったよ?

「ん~、翔くんがニノを選ぶって言うならしょうがないよな…
俺に止める権利はない」

少し悲しくなった…

やっぱり智くんの想いって、その程度なんだ。

「でも、前に言ったでしょ?
これから先も、他の人を好きになることはないよ
翔くんがニノを選んでも、俺は翔くんの事をずっと好きでいるから」
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