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【ONE PIECE】 さよなら世界

第17章 リアル非充実 (5)


 ずっと気付いていないふりをしてきた。は一人で探している。図書室で本を漁ったり熱心に地図を見ていたり。ポポロ島で不死鳥に零した『あんな水、飲まなきゃよかった』の意味。
 がこの世界に来たのは手順があったのだ。ならば戻るにも方法があるのだろう。
「手伝うよい」
「え」
「自慢じゃないが情報収集は得意なほうだ」
「でもそれってマルコさん、……船長さんに背くことにはなりませんか」
「ならねぇよい」
 これまでも自分から船を降りた奴は山ほどいる。陸に根を下ろしたいとか、自分の船を持ちたくなったとか、店を構えたいんだとか、理由はそれぞれだがそれがそいつの本心ならオヤジは無理に引き留めたりはしない。そいつらのおかげで縄張りの治安が保てたり、冒険を重ねたその船が傘下として戻ってきて目も飛び出るような財宝を土産に置いて行ったりする。
 ともかくまずはの帰り方を見つけることだ。見つけてから考えればいい。オヤジのことやほかのことは。
「あ、あの、ありがとうございます。正直いってすごく心強いです」
 なにを俺は傍観していたのだろう。こんなにがほっとするなら、もっと早くこうすればよかったのだ。
「ところでおまえさんは男と二人きりになるのは嫌なんじゃなかったかよい?」
 俺はあぐらを崩して甲板に寝転んだ。は切羽詰まっているわけではなさそうだし、そうなると俺の体は休息を求めてくる。
「……はい。でもこういう開けた所でしたら平気です。見張り当番の方もいますし」
 すると俺の部屋で寝起きしていたころは相当のストレスだったのだろう。
「なるほどねい。個室がダメなのか。が書庫やリネン室で仕事してるとき扉開けっ放しにしてるだろい。あれはあえてってことか」
「あ、はい。すみません……」
「怒ってないよい」
「あの、マルコさん? お休みになられるならお部屋に戻られたほうが……。風邪ひいちゃいますよ」
「よいよい」
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