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【ONE PIECE】 さよなら世界

第17章 リアル非充実 (5)


 オヤジがに覇気を飛ばしたあの戦闘以降、は変わった。いまではオヤジにはべったりだ。オヤジが食堂にいればせめて同じテーブルに着こうとするし、宴があればオヤジの声が聞こえるところに座ろうとする。甲板で組手しているのをオヤジが見ていればも見ている。あるときはじかれた短剣がぼんやり座っていたの方向へ飛んだことがある。そばにクリエルがいたので大事にはならなかったが、それからはオヤジの足元で見物するようになった。もちろんオヤジはまんざらではない様子だ。  
 何人かと一緒にいるときはたいていは聞き役であまり喋らず周囲を観察している。それは変わらないが、ナースのサーシャとはとくに気が合うようで二人でよく飽きもせずぺちゃくちゃしている。最近ではそこに華部屋の奴らが加わることもあり、先日はナースのキリと華部屋のリリィが香水の貸し借りをしていて驚いた。
「あ、あの、マルコさん、お飲みになりますか?」
 そしてこの言葉遣い。馴染むのとは反比例するように敬語が硬くなっている。ビスタとエースは『鉄壁の』と言って眉をひそめている。
 の問に首を横に振ればどこかシュンとする。子犬みたいだと思う。
 末っ子のポジションだったエースもいまはに対して立派な兄貴面をしている。歳でいえばのほうが上なのだが、もともとエースの兄気質との妹気質があるのだろう。イゾウともときどき話をしているようだ。
 は俺のことを監視役と思っているところがあるらしいから、なるべく俺から離れていったほうが本人にとってもいいだろう。と、達観を装いながらも、こうして夜中に不死鳥を待つにいいようのない温かさと後ろめたさが混ざる。
「最近ちっとも不死鳥さんいらっしゃらないですね……」
「なにか伝えたいことでもあるのかい」
「……いやだなぁマルコさん。不死鳥は鳥ですよ」
 そうやって笑ってごまかそうとする。
「。帰る方法を探してるんだろい」
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