第17章 リアル非充実 (5)
「マルコのその煙草、ポポロ島産のだろ? さて、なぜマルコはポポロ島では禁煙していたのかねぇ」
俺はイゾウやフォッサのようにヘビースモーカーではない。あれば嗜む程度で禁断症状が出るほどの執着はもともとないのだ。ハルタはにんまり笑いながら声を落として言う。
「不死鳥に臭いが移らないように」
「正解。あいつぁ鼻が鈍いというに念には念をってか」
「勝手に決めつけるなよい」
「うわっ。俺やっぱこのコンビ苦手だわ。こえー」
サッチは腕を抱えて震えた。
「ようやくマルコが恋をするんだ。なかなかの余興さね」
俺は煙を吐き出しながら言う。
「悪趣味」
「すげえ相関図だな」
サッチは顔も声も引きつらせているが、イゾウはケラケラ笑い飛ばす。
「何十年前の話してんだおまえ」
「『いも隊』に対抗して『マルコの恋を見守り隊』っての作る? 通称『まる隊』。僕、旗作ろうかな」
「よし、ハルタおまえからだ。海に投げ込んでやるよい」