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【ONE PIECE】 さよなら世界

第13章 リアル非充実(1)


【♂】

 サッチが限界に達していた。俺の部屋のソファにかれこれ一時間くらい前から陣取っている(こんなことならを華部屋に入れた時点でソファも片付けておけばよかった)。あー、だの、うー、だの言いながら酒をちびちび舐めてなにかを話す気配は一向にない。俺はポポロ島で入手した新しい気象学の本を読んでいた。気になる箇所があり調べようと思ったら本棚にはない。書庫にやったか。部屋を出ようとすると「俺を一人にするなよマルコ」と絡んでくる。めんどくせ。
「サーシャと喧嘩でもしたんだろい」
 このコンビはひと月に一度は決まり事のように派手に喧嘩をしている。
 あ、わかる? さすが。まあ座れよ。とソファのクッションを床にしつらえるので、サッチを蹴り落し(マルコ隊長、こわぁい!)、俺はソファに腰かけた。
「女ってときどき怖いよな」
 サッチの持参した干物をつまむ。
「サーシャが、だろい」
「うーん、いや。だってさ華部屋フルキャストになってからナースたち、ちゃんと距離置いてるだろ。ああいうの、わかんねぇわ」
「ああ」
 ナースたちと、イゾウを含む華部屋の奴らが微妙な緊張関係だというのはいまに始まったことではない。原因はほかでもないイゾウの女嫌いにある。はそこに巻き込まれているのだろう。
「サーシャもか?」
 サッチに問う。
「それがさ、あいつ、ちゃんに妬いてやがんの」
 惚気か。
「よかったねぃ」
 俺はやはり書庫に行こうと立ち上がる。
「待てって。だってちゃんだぞ。華部屋のちゃんだぞ。サーシャが嫉妬深いのは百も承知だけどさ、ちゃんにも妬くなんて、狭すぎだろ心」
「つまりおまえはを女として見ていない、と」
「あたりめぇだ。あ、よかったなマルコ」
「なにがだよい」
「ったく、とぼけやがって。とにかくな、俺はいまちゃんの栄養食を作るのに忙しいわけ。味しないのに皿いっぱいの飯食えってキツイだろ。だからもっとこう手軽にちゃんと栄養とれるようなの考えてんの。これってさ、べつにちゃんだからとかじゃないだろ。むっさいオッサンにでもやるよ俺。なんてぇかさ、料理人としてのプライド? みたいな」
「それをサーシャにも言えばいい」
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