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【ONE PIECE】 さよなら世界

第10章 それは、不死鳥 (3)


 いいね、みんな明るくて楽しそうで、これぞ宴だね。白ひげの船長さんもマルコさんもサーシャたちも笑っている。
「みぃつけた! あなたがね。もうずっと働きっぱなしじゃない」
「すこしは座んなさいよ。はいはいはいここここ」 
「さぁ、水よ水。あなた汗かいてんじゃない。働きすぎよぉ」
「ちょっと、旦那。もうすこし詰めてくださらないかしら。あたいの大きなお尻がお邪魔しますわね」
 あれよあれよという間に私は二人のおネェさんに挟まれて座った。
「あたいはダリアで、こっちの湿気てるのがリリィ」
「ちょっとぉ、誰が湿気てるですって?」
「あらぁあんた、いい飲みっぷりね。すてきよ」
「すてきすてき。飲みなさぁい」
 そう言ってリリィが注ぎ足してくれたのが焼酎の瓶だったのでぎょっとした。
「あ、あの! いま私が飲んだのってお水では……」
「水よ水。おぉいぃしぃお水よ。もう、わからないくらい喉乾いてたのね。かわいそうに」
 ヤバい。私、けっこうな量をがぶ飲みしてしまった……。ヤバい。味覚がないって不便だ。水、本当の水、ほしい。でもここで席を立つわけにもいかない。
「今日、イゾウ姐さんったら散歩から帰ってくるなりマルコ隊長に切りかかったのよ」
「やだ、ダリアったら見れたの? ずるいじゃないの」
「もうそりゃあんた、あれよ、もう、鼻血もんよ。ああん!あたい思い出しただけで溶けそう!」
「そりゃそうよ。イゾウ姐さんとマルコ隊長の手合いなんて……溶けるしかないわよ!」
 私は二人についていけてない。
「マルコさんとイゾウさんは、仲が悪いんですか」
「ちょっとちょっとったら、せっかく華部屋仲間なのよ。『イゾウ姐さん』。そう呼びなさい。ね?」
 そう言って、リリィは大声で離れたところにいるイゾウを片手で呼び寄せる。囲まれていたイゾウはゆらりと立ち上がって徳利とお猪口を持参してやってくる。ああ、キャットさんの女装もきれいだけど、イゾウさんの染みついている色気はなんというか桁違いだ。リリィとダリアはそれこそ姉妹のようにイゾウに慕って、私も『イゾウ姐さん』と呼ばせていいかと訊いている。
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