第10章 それは、不死鳥 (3)
「そう、急くな。いまマルコを呼ぶ。あの鳥については奴が詳しいんだ」
そう言って船長は電伝虫とかいうものを使ってどこかに繋いでいる。
「で、すこしは街も堪能してきたか?」
私は財布の礼を言い、買ったものを紙袋から出してひとつひとつ船長の足元に並べて説明した。船長はずっと笑いながら聞いてくれた。優しい瞳だった。私のおじいちゃんを思い出した。
ノックの音に振り返る。「俺だよい」扉の向こうから聞き馴れた声。「おう」と船長が答えればさっと扉が開く。あ、イゾウを呼ぶの忘れてたと思ったら、ちゃっかりイゾウもゆらゆらとマルコのあとに続いてきた。
マルコもイゾウも汗だくだ。この数分になにがあったのだろう。イゾウは相変わらず懐に両手を入れて不敵に笑っている。対するマルコは部屋に入るなり私の陳列物を見やり、私を射抜くように見る。ずいぶん雰囲気が尖ってる。船長は楽しそうだ。
「マルコ。が青い鳥を見たってよ」
「……そうかい」
「マルコさんは、その鳥について詳しい、と船長さんが…」
「……オヤジ…」
しばらくマルコと船長は目と目で会話しているかのようだった。イゾウは壁に寄りかかりにやにや諦観している。マルコは観念したかのようにため息をつき、腕を組んで私を見おろす。
「それで? だからどうしたんだよい?」
怖い。マルコが怖い。固まる私にイゾウが助け舟を出してくれた。
「いろいろ知りたいんだろ? その鳥のこと」
そうだ。イゾウと船長はなんとなく私の味方のように感じる。大丈夫だ。
「はい。なにを食べるのかとか、どこで寝てるのかとか、あと、名前も!」
マルコの眉毛がピクリと動く。