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【ONE PIECE】 さよなら世界

第5章 2月30日の来訪者 (5)


【♂】

 夕飯時でもを見かけなかった。べつに四六時中一緒にいるわけではない。隊長会議や隊内会議だってあるし、必要な書類作成を部屋でしていることもある。海軍や会社に比べればだいぶ適当でいい加減だし規律なんかあってないようなものでオヤジを中心に結束している組織。それでもこれだけ大所帯の海賊となれば、組織維持のためのあれこれを勢いと腕っ節の強さだけで決めてくわけにもいかないのだ。俺は俺でやりたいこともやるべきこともあるのだから、はで好きにしたらいい。ただ朝飯のときのの様子がおかしかったのですこし気にはなっている。近くにいたエースに訊けば、昼飯もそんなに食っていないらしい。まだ船酔いするのか。朝に食ったなにかが体に合わなかったのか。
 サーシャの誘いは断った。相手がサーシャでは長丁場になるし、それよりいまはを気に掛けるべきだと判断した。なぜはこの世界に来たのか。どうやって来たのか。なにが同じでなにが違うのか。情報が欲しかった。空から降ってきたを受け止めたのはたまたま俺が飛べたからにすぎない。だが、甲板でオヤジに「そいつのそばを離れるな」と耳打ちされたのは『任命』と同等だと俺は思っている。これは責任感だ。
 食後の一服をふかしながら食堂の出入り口に気を配るがは来ない。この一本を吸ったら探しにいくか、そう思っていたところにジョズが来た。ジョズは無口な男だが不思議と意思疎通には困らない。なにかあったのだろう。ジョズのあとを着いていく。ジョズはある廊下で立ち止まり、顎で奥を示す。この先の突き当りはオヤジの部屋だ。その扉の前で誰かがうずくまっていた。ああ、そういうことか。小さな体をさらに小さくして。
「」
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