第4章 2月30日の来訪者 (4)
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なにも考えたくなかった。だからなにか作業をしていたかった。朝食の後片付けを申し出る。テーブルを拭きあげていると落ち着いた。掃除スイッチがオンになった私は布巾を雑巾に持ち替え、いたるところを拭いていった。
そのうち食堂の掃除当番の人たちがやってきて、私が勝手に始めたことを怒られるかと思えばそんなことはなく、ならすこし念入りにやるかということになって、拭いた椅子をテーブルに逆さにして床も掃いて拭いた。そのころには新聞を読んでいたマルコはとうにいなくて、急がねぇと昼食の時間になるぞと厨房から急かされ、ひたすら目の前の床に集中した。
なんとか終わらせると、長時間かがんでいた膝と腰はバキバキで立つとふらふらした。そんな私を心配してくれたが、みんなはなんてことないようでさすが鍛えていらっしゃる。