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【ONE PIECE】 さよなら世界

第3章 2月30日の来訪者 (3)


 俺の部屋で目を回しているにサーシャを紹介し、俺はいったん航海室の様子を見に席を外したのだが、戻ってきてもまだサーシャはいた。
 サーシャと話しているを見て、本当にこいつは男がダメなんだと思う。は人の目を見て話さない。人見知りなのかと思えば、なんだサーシャとはまともに話してるじゃねぇか。べつに俺の隊にいる鍵職人も前髪で常に目を隠しているし、それが無礼だとも思わないが、ただ、なんだか……。
「あらぁ、マルコ隊長、もしかしてそこで拗ねてらっしゃるのかしら?」
「言ってろい」
 サーシャはなにか言いたそうににやついている。俺はデスクで書類整理を再開することにした。
「あ、あの、サーシャさん、」
「サーシャでいいわよ。同い年じゃない」
「あ、う、うん」
 文字を追う目が一瞬止まる。
 同い年? と、サーシャが……?
 思わず書類から顔を上げるとサーシャが高速のウィンクを飛ばしてきた。こういうところが年々サッチと似てきている気がする。
「その……、サーシャのいる女部屋に、私、入れない、かな……」
「そうねぇ、それはちょっと難しいわね。スペース的な余裕が全然ないのよ」
 サーシャの言葉は事実だ。できることなら俺だってそうしてやりたい。はあからさまにしょんぼりしている。
「おまえさんらのクローゼットと化粧台を半分にすりゃ空くだろい」
「マルコ隊長。私たちから服とコスメを奪うというのは、ビスタ隊長から剣を奪うということと同じですよ」
「ご、ごめんなさい。なんか、へんなこと言っちゃって」
「は謝らなくていいの。いいじゃない、ここ。ベッドも大きいし。いまのには休息が必要よ」
「でも、その、……マルコさんがずっとソファというのは……」
 呆れた。この期に及んで他人に気遣ってんのか。どういう神経してんだ。
「マルコ隊長、うれしそうね」
「……」
「はい」
 ほらまた声は強張って視線は俯く。
「次の島でのベッド買うからよい。それまでの辛抱だ」
「い、いや、辛抱って、マルコさんが……」
「よいよい」
「え……」
 俺は今度こそ書類に集中した。吹き出したサーシャがをシャワーに案内する。そうだ。すっきりしてくればいい。
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