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【ONE PIECE】 さよなら世界

第3章 2月30日の来訪者 (3)


【♂】

 異邦人がようやく名を名乗り安堵したのも束の間、今度は吐き気を訴えトイレに籠城し、ドクターに相談したが船酔いだろうと体も診ずに判断し、脱水症状にだけ注意して看病してやれと、軽くあしらわれた。
 想定内の対応だが、は異世界からの来訪者だ。身体のつくりが違ったりするかもしれない。
「この医務室のベッドがいっぱいだとは聞いてないがねい」
 Dr.フウはちっちっちと人差し指を横に振りながら答える。
「この医務室はわしらドクターの城。ドクター男ばっか。いま寝込んでる数人も男ばっか。そこにうら若き娘を置いていくのかい。オヤジが一目で気に入った娘さんを。それも男嫌いという娘さんを……」
「……わかった」
 ったく、Dr.フウと話すと疲れる。
「そのかわり誰かナースを寄こせよい」
「あらやだマルコ隊長。ドクターに止められたって行くに決まってるわ」
 仕切りのカーテンから顔を覗かせたのはナースのサーシャだ。
「いつ紹介してくれるのか楽しみにしてたのよ。それとお言葉ですが、Dr.フウ。ここは私たちナースの城でもあることをお忘れなく」
 温度の低い笑みを張り付けてDr.フウに一礼する。下唇を突き出したDr.フウと顔を見合わせ苦笑した。
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