第5章 当たり前
突然、視界が歪む
「 っ……?! いっ… 」
同時に、耳鳴りのような頭痛
何かが、見える
映るのは、廊下ではなく何かの部屋
前からヒタヒタと… 誰かが 来る
「 な、に……? 」
見たことない、経験のない頭痛
囁かれる声
[ 従え ]
[ にげろ ]
[ 誰も来ない ]
[ ダレカ ]
「 いた、い…… 」
フラフラとその場に膝をつく
[ お前は ]
[ ワタシは ]
秀吉「 何の……!?っおい、独香…! 」
光秀「 ……! 頭痛か。こっち向けるか 」
肩を揺さぶられる
しかし、独香から返事はない
光秀「 聞こえているか、ひと…… 」
顔を覗き込む光秀はその場で固まった
秀吉「 どうした 」
光秀「 独香…お前、何を見ている 」
顔を上げさせれば、秀吉にも何が起きたのか分かる
その目は何も見つめていない
意識はあるはずなのに、焦点が合っていないのだ
秀吉「 おい、独香! 」
その瞬間、ふと口を開け声を出す
ゆっくりと2人に聞こえる声で
「 シ タ ガ イ、 マス 」
秀吉「 …!? 」
光秀「 ……… 」
続けて言う
「 ゴ メ ン …
パンッ と叩く音がその場にだけ響く