第5章 当たり前
それからの日々、独香は城の中で良く見かけられるように。
政宗には約束通り料理を教えてもらい、
家康には医療について。
三成の読書に付き合ってみたり、
光秀には時々良く分からないことを教えられそうになって
秀吉がそれを止めに来たりしたこともある。
信長の部屋へと行って、遅くまで話相手になったり。
( お世話ってこれで良いのかな…? ) と不思議に思うくらい充実な日々を送った
少し距離を置いていた女中や皆の家臣にも誰かを通じて
話すようになっていった。
着物の着方もしっかり覚え、ぎこちない笑顔もふんわりしてきた
誰もがその変わりようを喜んでいた
様 と呼ばれるのにはまだ抵抗があるけれど。
佐助とのやり取りも多くなって、この時代の知識も少しずつ覚えた
そんなある日…
佐助「 午前は〜の上刻、午後は〜の下刻。時間 はまだ使われてないから気を付けて 」
「 私たちの時代の言葉使うと意味とか聞かれるからね 」
佐助「 こっちも良く聞かれるよ。説明しないと離してくれないときもある 」
「 私も、あはは 」
佐助「 …独香さん、会うたびに雰囲気が柔らかくなってるね 」
「 そう…かな? 確かに、最近すごく関わりが多くなってて 」
" 新しい自分 " 話す内にそう感じるようになった
頼られたり、頼ったり。
褒められたりすることがこんなにも嬉しいのだと。
「 初めて をたくさん経験してる… 」
佐助「 あぁ。目が生き生きしてるよ 」
「 そうかな 」
佐助「 皆、そんな独香さんを見れて嬉しいんじゃないかな。
…誰か来るね。またくるよ 」
「 うん。また話そうね 」
佐助が消えると同時に家康の声がかかる