第5章 当たり前
「「 ……… 」」
少し震えながらも必死に話す独香を
一同は静かに聞いていた
途中、家臣や女中が駆け付けようとするが
政宗と光秀が 大丈夫 と言って集まらないようにしていた
戻ってきた家康も雰囲気を察したのか
道具を持ったまま近くに座って独香を見つめていた
独香「 私、怖かったんです…ここに来てから誰かに操られているようで、
私の存在が消えていくようで、もう何がなんなのか分からなくて…
気付いたら、こんなことになって、私が私じゃなくなっ、て 」
ポロポロと涙が溢れる
その涙は静かに独香の着物へと染みていく
独香「 私なんてどこに居ても何の意味も…それが私の当たり前だったの…
その思いはずっと消えてない 」
秀吉「 独香、それはちが 」
顔を上げ、全員の顔を見つめる
その瞳には涙で潤んでいるにも関わらず
微かに光が灯っていた
独香「 でも…っ秀吉さんが笑顔をくれるって。
信長さんが幸運を運んでくるって。
悲しい顔なんて似合わない って言ってくれて…っわた、し…
" 嬉しい " って、" 暖かい " って…感じて、良いのかなって… 」
一同の顔を見つめながら涙が溢れて止まない
独香「 ごめん、なさいっ…なんか、色々話して… 」
信長「 何故謝る 」
独香「 だって、皆さんまだすることが… 」
信長「 貴様のことについて話し合っていただけだ。
姫としてこの城にいる以上、危険なことに巻き込ませるわけにはいかんだろう 」
三成「 もう大丈夫ですか? お辛い中、話してくれてありがとうございます 」
政宗「 お前の過去聞けなくなったのが痛手だが、
そんだけの事なら一気に思い出す必要もないだろ。怖い中、一人にさせて悪かったな 」