第5章 当たり前
部屋へ戻り、畳に横たわる
( …ここの人たちは、あの人と違う。優しくて、暖かい。
心に響くような声。
スーッと何かが抜けるようで…少し、怖いぐらい )
体を起こし、横を向くと
そこには鏡
映るのは安心している自分の顔。
独香「 こんな顔だったかな、私 」
それは、ここに居れることに安堵していることを
確かに証明していた
( …今までの人生が嘘みたい。)
だって昔は
そう思い出そうとしたとき
コトン…
何かが抜け落ちたような感覚―
「 ? あ、れ…? 」
「 思い、出せ…? 」
スーッと抜けていくように
「 なん、で? 覚え…て、 」
( おかしい…おかしい。ここに来てから声が聞こえて、
倒れたりして、まるで… )
操られているよう―
そう言おうとしたとき、鏡に映る私が
「 …え? 」
笑った