第5章 当たり前
その場に光秀の声がかかる
光秀「 今回の騒動、主犯は顕如によるものと思われます 」
独香「 え 」
信長「 ほぅ、やはり復讐か。大したものだな 」
ニヤリと口角を上げる信長を横目に
独香は昨晩のことを思い出していた
独香( あのお坊さん?あの人、敵だったの…?
確かに刀傷とかあったし、最初はちょっと怖かったけど
あそこから逃がそうとしてくれたし… )
箸が止まり、考え込んでいる独香に気づいた政宗は
声をかける
政宗「 独香、どうした? 何か思い当たることでもあるのか 」
独香「 え、いやその… 」
言っていいのか、黙り込んでしまう
信長「 何か知っているなら話せ。黙っていて良いことなど無かろう 」
その言葉を聞き、ポツポツと喋る
独香「 私、その人に会って…ます 」
「 …! 」
一瞬の間の後に声がかかる
信長「 左様か 」
コクリと頷く独香を見て、秀吉は息をつく
秀吉「 まさか会っていたとはな…どこで会ったんだ? 」
独香「 私が逃げていった森みたいなところで… 」
家康「 何もされてない? 」
独香「 うん。鬼が出るからここにいたら駄目って言われただけ、です 」
政宗「 鬼、か。あいつがどの辺りで動いているか
近々分かりそうだな 」
光成「 私のところから偵察部隊を出しましょうか 」
信長「 いや、光秀に任せよう。やれるな? 」
光秀「 もちろんです 」
不気味な笑みを浮かべる二人
( こういう話になると皆武将なんだって感じるな… )
着々と話が進む中、独香は呆然としていた
政宗「 …それと、悪い知らせが一つある 」
話に割って入るように政宗の声が響く
「 甲斐の虎が、生きていることが昨晩判明した 」