第4章 時代と歴史
独香( 逃げちゃった…のかな? )
囁かれた耳に触れる
( 光と影…って? 制御って…? 信玄さん何を… )
不思議に思いつつも、核心を突かれたようにざわめく心
( なんでこんなに… )
あの言葉が引っかかるのだろう
そんな中、秀吉の声がかかる
秀吉「 いーた。お前一人で何突っ立ってんだ、
そろそろ行くぞ? 」
独香「 秀吉さん、あの、 」
秀吉「 ん? 」
優しく微笑む顔を見て思わず聞いてしまう
独香「 私って、私ですよね? 」
秀吉「 お、おう? 独香は独香だろ 」
その言葉に不思議と安堵してしまう
独香( 私は、私。大丈夫、大丈夫… )
それでも引っかかりは取れない
独香「 そ、そうですよね。あはは…
行きましょうか、探させてすみません 」
秀吉「 あぁ……、 何か思うことあるならちゃんと言えよ?
今は言えなくても、いつかちゃんと 」
「 お前が、自害しようとした理由も 」
独香「 ー! …うん 」
秀吉「 大丈夫だ。無理に話そうとしなくて良い。…行くぞ
遅れると信長様に何と言われるか… 」
気付くと日がもうお昼近くまで昇っていた
独香「 そうだ、ね。行こう 」
秀吉「 あ、これ付けてな 」
そう言って付けられたのは、さっき独香が選んだ耳飾り
風に揺られてリン…と音が鳴る
独香「 ありがとう… 」
秀吉「 おう 」
独香たちはリン と音を小さく鳴らしながら城へと向かった