第4章 時代と歴史
独香「 何かって…何をだろ…? 」
思い当たる節がない
秀吉「 俺にも分からないが、今のところ独香は笑顔をくれるな 」
独香「 …え 」
独香( いま、笑顔をくれるって…? 私が……? )
「「 不幸しか呼ばないやつが!! 」」
独香( っ…また、声… )
食べようとしたお茶菓子が手からすりおちる
秀吉「 うおっと危ない…ぞ? 」
顔を上げた秀吉は思わず固まった
独香の目から雫がポタポタと落ちているのだ
秀吉「 えっ、ひ、独香!? どうした? 嫌だったか?! 」
独香「 …? あ、あれ どうしたんだろ 」
独香( さっきの声のせい…? 言葉一つ一つに反応しちゃう…。
言葉一つで何でこんなに掻き乱されるんだろう… )
変なの と軽く微笑んで涙を拭う
秀吉( 無意識…? )「 大丈夫か…? 」
自分の手を独香の手の上に重ねて拭う
涙が光に照らされてキラキラと光る
瞳は潤み、拭った隙間から頬を伝う涙
軽く目を伏せるその姿は、秀吉の心を奪うには多すぎた
秀吉( 涙が似合うなんて知らないぞっ…くっそ
三成のやつ本気で整えすぎだ…こんなのすぐに押し倒され… )
そこまで考えるとハッっと正気に戻る
秀吉( 馬鹿か俺は!! 目の前で泣いてる独香を前に…
何を考えてる…はぁ、1人で城下なんて行かせられないな )
独香( …何か秀吉さんすごい顔してるけど、どうしたのかな…?
もう止まったんだけど…でも秀吉さんの手暖かい… )
動かないようにしつつ温もりを感じる
独香( …人の温もりってこんなにも暖かいんだな )