第4章 時代と歴史
秀吉「 着いたぞ。寒いし、温かいものでも頼むか 」
そう言いながら店の人にお茶と茶菓子を頼む
独香「 …あれ、そういえばお代… 」
秀吉「 ん? 別に大丈夫だ。お前と城下をまわる用で持ってきてる 」
シャラシャラと銭の入った袋を軽く振る
独香「 え、悪いっよ。 私が… 」
秀吉「 お前この時代の銭を持ってるとでも? 」
独香「 あぅ………すみまs」
すみません と言おうとすれば頬をギュッっと握られる
秀吉「 すみませんじゃなくて 」
独香「 …あふぃがとぅ? 」
秀吉「 よくできました 」
満足げにする秀吉
独香( 本当に…お兄さんみたい、でも秀吉さんって… )
「 あの、秀吉さん 」
秀吉「 ん、なんだ? 」
独香「 あの…秀吉さん、って…私のこと疑ってなかった…? 」
秀吉「 あー、そうだな。疑ってたな 」
独香( 過去形? )「 えっと…? 」
店員「 お待ちどうさまです」
秀吉「 ありがとう。ほら 」
目の前に温かそうな淹れたてのお茶に美味しそうなお菓子たちを差し出される
独香「 ありがとうございます… 」
( もしかして話逸らされた? )と少し飲むのを躊躇っていると
秀吉「 ちゃんと話してやるから、まずは飲んでみろよ 」
独香「 …うん 」 ( 考えてること読まれたような )
コクッっと一口飲んでみる
独香「 ー! あったかい… 」
体だけでなく、心までもを暖めてくれる美味しさ。
秀吉「 はは、大袈裟なくらい顔に出てるな。そんなに美味しかったか? 」
独香「 顔に? 」
秀吉は独香の頬を指でひと回りさせて優しく微笑む
秀吉「 独香は表情をコロコロ変えるからな。分かりやすいというか。
そんな単純でしかも細身のお前が信長様なんて狙えるのかって話だ 」