第6章 敵陣営へ
政宗「 ……!!! 」
信長「 …確かなのか 」
「 っ…はい、気付くと近くにこの文と包みが 」
秀吉が包みを開き、3人に見えるように置く
それはたくさんの色で染められた、信長の好物。
そして、文を読み上げる
『 久方ぶりだ。本能寺が焼けたと思えば次は女とは、
不思議な者を傍に置いたものだな。何も持たずに人を助ける姿、
よほどの命知らずのようだな
珍しいものには興味が湧く。しばらく拝借させてもらおう
無理矢理取りにくるのであれば
それは戦の前兆と見なす 』
言い終わり、グシャっと文を握る
怒り、後悔。
敵軍に攫われたという事実に納得が出来ない
秀吉「 独香っ… 」
彼女は今どんな状態なのだろうか
怖がっている? 動けないでいる?
助けを呼んでるに違いない
考えれば考えるほど、城下へ行かせた
自分の判断を後悔する
政宗「 信長さ…… ! 」
政宗の目に映ったのは、同盟を結んでいる信長の姿
その姿は鳥肌が立つくらい異様な雰囲気を纏っていた
「 お、御館様… 」
信長「 …それをよこせ 」
門番がすぐに金平糖を渡す
それを受け取り、少し深呼吸をする
信長「 あやつが戻るまで、これは保管しておけ 」
秀吉「 はっ、…独香の救出は私の家臣の者たちと 」
「 やめておけ 」
そう、秀吉の声を遮って部屋へ入ってくる
信長「 …光秀か 」
真剣な顔で全員に言った
光秀「 上杉の安否も判明した今、闇雲に動いて取り戻そうとすれば
独香を人質とされます 」
政宗「 だがあいつは他と違う。
事情も知らない奴らの言いなりになれって言うのか 」
光秀「 そうとは言ってないだろう。……お前は仕事に戻っておけ 」
「 は、はいっ! 信長様、失礼します! 」
信長「 あぁ、不審な者はすぐに捕らえろ 」
「 はっ 」
素早く出ていく門番を横目に信長の様子を伺う光秀
光秀( 随分と口数が少ない。…焦っておられるのか )