第6章 敵陣営へ
( 共に………? 一緒? この人たちと?? )
突然のことに思考が追いつかないでいると
幸「 謙信様、そのようなことをすれば織田が黙っていません。
まだ準備も整っていない中で危ない行動は避けて下さい 」
謙信「 人質として居させれば多少は考えるだろう
そこまで野蛮な男ではあるまい 」
「 え、と……私、もうすぐ帰らなくちゃいけなくて… 」
細々と言うと、真剣な眼差しを向けられる
謙信「 文を出せば済む話だ。攫うとは言うが悪いようにはしない
信玄は寧ろ歓迎すると思うからな 」
「 でも私おつかいが…… 」
買った物を持っているとヒョイと取られ、佐助の手へと渡る
謙信「 文と一緒にこれを付けておけ。……他は特にないだろう
さっさと行くぞ 」
佐助「 ……分かりました 」
「 あ、えぇ…… 」
どう答えれば良いのか迷っているうちに話は進む
( どうしよう…ここから外へは出ないって約束も破っちゃう
迷惑かけちゃう…、探させちゃう、どうしよう )
不安が一気に心を覆う
頭痛で何度も心配をかけているのに、また。
「 わ、たし……約束… 」
守らなくちゃ
でも、きっと今逃げても追いつかれる
大声もすぐに掻き消される
何も、出来ない
( このままじゃ何されるか… )
そのとき、ポンと頭に大きな手が乗っかる
見上げれば幸さんの手。
幸「 …そんなに不安にならなくて良いんじゃねーの。
約束を破らせてるのは俺たちで、お前は悪くないけど 」
「 でもっ 」
幸「 どうなるか怖い だろ? 」
「 ―っ 」
幸「 一度言ったことは変えない人なんだ。どうにもならない 」
「 ……… 」
だから と俯く私を覗き込む
幸「 俺が、ちゃんとお前についておく。
絶対に怖い思いはさせないから、今は攫われてくれ 」
「 ゆ、きさん…が? 」
幸「 おー、守ってやるよ。」