第6章 敵陣営へ
「 で、でも 」
???「 同じことを言わせるな 」
「 ……… 」
キュッと袖を握る
八百屋「 独香様……申しわけございませぬ!
巻き込ませてしまい、何と言えば… 」
「 い、いえ…私は…この方のおかげです 」
???「 …活気のある場で刀など似合わん。
怪我などないのなら失礼する 」
八百屋「 お客さん! せめて名前だけでも教えて下さい!
あんたは命の恩人だ 」
???「 ……軍神 とだけ名乗っておこう 」
( 軍神? 何かの肩書きかな )
そういえば と前に家康が言っていたことを思い出す
( 政宗や信長さんにも肩書きのようなのがあった。
確か、信玄さんにも……じゃあこの人は何かの将軍さん? )
安土以外の将軍。佐助くんは歴史が変わっていて
上杉謙信を助けたって言ってた
( ……その人の特徴とか聞いていなかったな、)
今度聞いてみよう。
???「 …聞いておるか 」
「 えっ? ―ぁ! す、すみませ… 」
???「 手を見せろ 」
「 手…? あ、あの 」
有無を言う間もなく、手の甲を握られる
そこにはペンダントで握りすぎたのか爪が食い込み薄く血が出ていた
( …気づかなかった、)
「 これ… 」
血が という前に口元を塞がれる
???「 店主、このようなことがないように。
ここの作物は良いと聞いている。あんな者に屈するな 」
八百屋「 …!! もちろんです。本当にありがとうございました!
お二方のおかげで何事もなく再開できます…! 」
塞がれた手からひょこっと顔を出す
「 あの…! 次は、ここの野菜買いに来ます。
美味しい野菜、期待してます 」
八百屋「 承知しました…! お気を付けてお帰りください 」
???「 失礼する 」
そう言い残す
と、同時に血のない手を引かれる
「 ん…? 」
???「 こっちへ来い 」
「 え、あの これぐらい何とも… 」
???「 死にたがりに言われても力に欠ける 」
チクチクと刺さる言葉
( 死にたがり… )