第6章 敵陣営へ
( おつかい って初めてかも。信長さん、喜んでくれるかな )
歩きながら金平糖を見つめる
( もっともっと、役に立たなきゃ )
城へ向かって歩いていると…
「 …? 」
八百屋のところで何やら含み笑いを浮かべる2人組
( 何してるのかな… )
少し遠くから見ていると、小さな刀で野菜に傷を入れた
( え? あれ…売り物… )
そして、店主に話しかけている
八百屋さんはペコペコと頭を下げ、
それを見て2人は何かを頼んでいるようだった
( もしかして、買う分タダにとか…
店主さん気付いてないからって責任押し付けてる? )
少し近寄れば、声が聞こえた
男「 他の人が買いそうになってた傷物を見つけてやったんだ。
礼があって当たり前だろ? 」
八百屋「 そ、その傷物はもう売れません。感謝していますが、
その量をタダにするのは… 」
もう一人の男の手には色々な野菜が積み重なっていた
男「 ほー。感謝 っていうのを知らないようだな 」
カチャ…と刀に手をかけるような音
( …危ないっ )
助けようとした時、
[ 危険なことには踏み込まない ]
( っあ…約束…して… )
約束は守らなくちゃいけない。
けれど、目の前では刀で脅されそうになっている店主の姿
悪くないのに、責任を押し付けられているその状況は
独香の心にチクリと針を立てる
( …知ってる? )
この痛みを、私は知っている…?
無意識に体が動く
約束、しているのに
( 秀吉さん、ごめんなさい… )
男の前に立ち塞がる
「 あ、あの… 」