第5章 肝試し【国見英】
「ちゃんと我慢しとけよ、声。たぶんみんな懐中電灯持ってるだろうし。」
そういって片方の突起を口に含みだした英。
もう片方の膨らみは英の綺麗な手でやわやわと遊ばれている。
『っん...ふ、やぁ...ん、』
___...ジャリッジャリッ。
人の気配を感じて、私は手で口を押さえた。
「なぁ松、お化け全然出てこなくね?」
「たぶんこの辺にリンカがいると思うんだけど。」
そういって私たちの居る隣の茂みがザッと照らし出される。
『...っ!』
花巻さんと松川さんだ...。
「もーちょい先なんじゃねーの?」
「ってか、お化け役誰だっけ。」
「んー、国見と、リンカと、あとスタメンでもベンチでもない1、2年だったかなぁ。」
声が真ん前を通過し、安心しかけた頃。
『...んんっ!』
突然突起を爪で引っ掛かれる。
口を押さえてはいたけど、やっぱり声は出てしまって隠し切れない。
それに、体がビクッと震えて茂みの葉っぱを揺らしてしまったようで、ガサッと大きい音をたててしまった。
「んー?やっぱこっち側かなぁ…。」
そういって懐中電灯の光が私の真横に落ちる。
泣きそうな顔をしている私とは対に、英は余裕そうな笑みを浮かべている。