第5章 肝試し【国見英】
『ちょ、ちょっと今怖くて仕方ないんだから、子供っぽいとか言ってメンタルまでおかしくさせるのやめて!』
「はいはい。」と言って手を離しそっぽを向く英。
『あーもーやだよ...、怖いよ...。』
頬に手を当てながら呟くように言う。
「だから一緒に居てやるっていってんじゃん。」
隣から聞こえたのは、「当たり前だろ。」みたいな雰囲気の声。
『えっ!?ホントに!?』
やったー!、と言おうとすると、「でも、」と遮られる。
なんだか嫌な予感しかしない。
「俺がただ一緒に居てやるだけだと思う?」
そういってニヤリと英が笑った瞬間に、ラインの通知音がなる。
『あ、松川さん...。肝試し始まるって!』
英にそういってから、[了解しました!]みたいなスタンプを返してラインの画面を閉じる。
"肝試しが始まる"と言うことに何も反応しない英にちょっと腹が立って、顔を覗き込む。
『ちょっとー、聞いてる...んっ』
覗き込んだ隙に頭を捕まれて、キスされる。
『っん、...あ、きら...ふぁ...』
だんだんと酸素が入ってこなくなって苦しくなり、英の胸をバシバシと叩いた。
「って...。怪力かよ。」
『...うるさい。』
「てか肝試し始まったんだ?ちょうどいいじゃん?」