第4章 寝顔【牛島若利】[生誕記念]
...やっぱり、居た。
若利は、校舎裏の桜並木の下のベンチに腰かけて眠っていた。
...寝顔、変わらないね。
ニャァン、と鳴いて若利の足元に猫がすり寄っている。
『若利...。』
私は若利の隣に腰かけて、空を見上げる。
青葉になった桜がとてもきれいで、そこから溢れる木漏れ日が暖かくて、落ち着く。
「...むっ...。」
若利は、一度顔を歪めると、またすぅすぅと寝息をたてて寝始めた。
私も寝ようかな、と思って、開いたままの若利の手に指を絡めた。
暖かくて私よりも大きいその手に力が入る。
「...いたのか。」
『ん、おはよ。』
そう言うと、もう片方の手で目を擦っている若利。
『寝ててもいいよ。』
「いや、もう目は覚めた。」
『そっか。』
繋いだままの手を話そうとすると、手が離れたところでグッと腕を引かれた。
『うわっ...!!』
私は、よろけてそのまま若利にキスをした。
『...っん、ふ、』
そのまま、幾度となく繰り返される重ねるだけのキスに身をよじらせる。
一度離した手を、もう一度恋人繋ぎにする。