第4章 寝顔【牛島若利】[生誕記念]
その日からは、ぎこちなかったけど、ほとんど毎日若利と話すようになった。
月日が流れ、それは中学でも高校でも続いた。
そしてあるとき、「お前がほしい。」と言われた。
高校2年の、入学式の日だった。
あんまり目立たない、校舎裏の桜並木が綺麗なベンチのところで、そっと。
私は、告白をOKして、ずっと寄り添った眼鏡もポニーテールもさよならした。
ちなみにひっこみじあんなキャラとも。
私はあの時の若利の寝顔も、まっすぐな瞳も忘れてない。
そんなことを考えながら、靴をはきかえて外に出た。
「...あ、リンカさん、ちわっす。」
「リンカさんじゃないすか!こんにちわっす!」
話しかけてきたのは、賢二郎と工。
どっちも若利と私の後輩で、とてもいい子。
『若利見なかったかなぁ?』
「...すみません、見てないです。」
申し訳なさそうにいう賢二郎に『そっか、ありがとう』といって工の方を見る。
工は、「昼寝してるところじゃないですか?場所はしらないけど、いくって言ってた気がします。」
昼寝、してる所。
私は、その場所を知らない。
けど、予想は出来た。
「木漏れ日が暖かくて安心できる。
なんだか、昔座ったお前の席のような感じだ。」
そういってくれたのを覚えてる。