• テキストサイズ

バレーよりも甘い[HQ/R18]

第4章 寝顔【牛島若利】[生誕記念]


若利と出逢ったのは小学校3年生の頃。


クラス替えで偶然一緒になったのだ。


ひっこみじあんの定型文だった私は、若利とは一切話さずに狭い世界で暮らしていた。


眼鏡にポニーテール、隅っこでずーっと本を読んでいるような子だった。




ある日の放課後、本を借りたあと教室に戻ると、若利が私の席で寝ていた。


なんの接点も会話したことがなかった私は、数分立ち尽くしていた。



『...あの、』

ちょっと大きめの声でそう言うと、若利が目を覚ました。


「あぁ、悪いな。...寝てしまっていたようだ」


そう言った若利は退く気が無いように見えた。


『あの...本、おきたいんですけど...』

「...あぁ、」

若利はそう呟いたあと、私の眼鏡をスルッとはずした。

「...お前、どうして眼鏡をしている?」


突然の事で訳もわからず立ち尽くす私に、若利はそう問いかけた。


『...えっ?』

「どうしてそのような綺麗な顔をしているのに眼鏡などつけるのだ、と聞いている。」

『...それは...っ、』


なんの冗談、と言おうとしたけど、そのまっすぐな瞳に捕らえられて動けなくなった。


若利の目は、私なんかよりまっすぐで、きれいで、自信に満ち溢れていた。


それは、今も同じ。
/ 41ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp