第13章 駄々
「いたたたたっ!!」
「煮え滾った油をかけられんだけ、ありがたく思え」
ナナシの馬鹿力で抓られたエルヴィンは涙目になりながら
手を離したが、ナナシの傍から離れようとはしない。
ピッタリ隣に寄り添い、ナナシの作る料理を見つめる。
「これは、コロッケかな?」
「そうだ。中に少しだが実家から取り寄せた肉も
混ぜてあるから心して食え」
「それは美味しそうだ。食べるのが楽しみだよ」
「兵士は肉体が資本だ。特に成長期のエレンには少しでも
肉を与えて身体を作って貰わねば・・・」
揚げあがったコロッケを皿に移しながらそう言うと、
急にエルヴィンがナナシの手を掴んだ。
どうしたのかと見上げれば、エルヴィンは怒ったような表情で
ナナシを見据えていて、何かが気に触ったのだとわかったが、
何が彼の気に触ったのかはわからない。