第34章 部下達の苦悩
その顔には「そんな事されたのに、よく調査兵団にいてくれますね。
そして、よく団長と結婚しましたね」と書かれていた。
モブリットの心情を悟ったリヴァイが「結婚もエルヴィンが
ナナシを騙して、婚姻届を出しやがったんだ」と教えてやったら、
何を思ったか彼は厨房まで走っていき、そこに置いてあった
酒の瓶をラッパ飲みし始める。
恐らく、様々なキャパシティを超えたのだろう。
いくら普段奇行種であるハンジの相手をしているとはいえ、
まともと思っていた上司がハンジよりも奇行種だという
現実を突き付けられ、シラフではいられなくなったのかもしれない。
「あんまりモブリットを虐めてやるな、クソメガネ。その内、
胃に穴が空くぞ」
「えー?リヴァイだって追い打ちかけてたじゃん。あたしは
大事な副官に事実を教えてあげただけだって。知らないより
知ってた方が良いでしょ?」
ハンジとリヴァイはそう言い合っていたが、話のネタにされた
ナナシの心境は複雑そのものだった。
シラフではいられない程エルヴィンは酷いのかと思う
ナナシは、エルヴィンによって大分感覚が麻痺していた事を
自覚し、離婚できないことを少しだけ後悔した。