第13章 駄々
「君はやたらとエレンの肩を持つが、それは何故だ?」
「何故って・・・」
「まさか、私からエレンに乗り換えるつもりじゃ・・・っ!」
昨日からずっとナナシはエレンの肩を持ち過ぎていると
エルヴィンは感じた。
身体の心配や心のケアなどの進言を最初は
「それもそうだな」と思っていたが、今考えるとそれは
歳のいった金髪碧眼より、若いツバメが良くなったのではと
勘繰ってしまう程のものだった。
泣きたい気持ちと、若いツバメを殺したい気持ちで
ナナシの答えを待っていると、ナナシは心底呆れたような表情で
エルヴィンの額にデコピンをかました。
「相変わらず痛い思考を持っておるな。巨人の力を持つ
エレンの苦悩が少しはわかるから、少しでも力になれればと
思っているだけで、それ以上もそれ以下もない。
心身のケアを心配するのは当然だろう?あとは、
弟がいたら、こんな感じかと思うくらいで・・・」
それを聞いて自分から乗り換える気では無さそうだと
エルヴィンは安堵したが、「だが・・・」とナナシは
嫌な笑みを浮かべた。