第12章 巨人化とは・・・
「エレンの身体は本当に大丈夫なのだろうか?
巨人化する事によって何かを失くしていないか心配になるのだが・・・・」
「何かって?」
「それはわからぬが・・・・・例えば『寿命』とかな」
能力を使う度に命を削っていたかつての自分のように・・・・。
その場が水を打ったように静まり返った。
ハンジも何か思う所があるようで、黙りこんでしまう。
暫くするとその沈黙を破るようにエルヴィンが
「だが・・・」と言葉を紡いだ。
「我々にはその力を行使する以外道はない。
今までも多くの命を犠牲にしてきた。一人の命の重さを
語るべき時はとうに過ぎているんだ。兵士に・・・
調査兵団に入ったからにはエレンにもその覚悟を
してもらうしかない。違うか?ナナシ」
かつて多くの部下を束ね、導き、全滅させた経験のあるナナシに
エルヴィンは問うた。
「あぁ・・・。・・・あぁ、そうだな。お主は正しいよ、
エルヴィン。私が悪かった。今更綺麗事を抜かしても仕方ないのに
・・・すまなかった」
一縷の希望がそこにあるなら、ナナシだって命を切り捨てるだろう。
酷なことを言わせてしまったなと罪悪感を抱きながら、
ナナシはエルヴィンに謝罪した。