第12章 巨人化とは・・・
「・・・そうか、仕掛けはわからなかったか」
落胆した声色で呟いたエルヴィンは何かを考え込んでいるようで、
心ここにあらずといった様子だった。
「でもさ、最初の内はエレンの自我が保てていて良かったよ。
これで『全く出来ません。壁の穴を塞いだ時は紛れだったんです』
だったら、あたしらの首も飛ぶとこだったんだから」
「すぐに暴走したがな」
努めて明るい口調で言ったハンジの言葉をリヴァイが
バッサリ切り捨てると、彼女は鼻息を荒くして反論する。
「だからこそ、多くの実験が必要なんだ!壁外調査まで
一ヶ月もないんだからエレンにはバンバン協力してもらわないと!」
「・・・・それなんだがな、ハンジ」
ハンジの言葉を遮ったナナシは、言いようのない不安を覚えた。
普通何もないところから、あんなものは構築出来ない。
巨人化する事によって何か対価のようなものを
支払っているのではないだろうか。
気を失って出て来たエレンを思い浮かべ、ナナシは顔を曇らせる。