第11章 流されてしまいそう
そんな事を思っていると、エルヴィンが身体を少し離し
ナナシの顎を上へと向かせて唇を重ねてきた。
それは激しいものではなく、優しくて蕩けるようなもので、
ナナシもうっとりと静かに受け入れていると、
身体が持ち上げられ身体がベッドに横たえさせられた。
ナナシをシーツに縫い付けるようにして伸し掛かってくる
エルヴィンに、「待った」の声を掛ける。
「え、エルヴィン・・・ダメだ。これからエレンの実験が・・・」
「今他の男の名を出すな。手荒くしてしまいたくなる」
手早く服を脱がしに掛かってくるエルヴィンの手を掴んで制し、
ナナシは息が上がりながらも苦言を呈す。
「愚か者!実験は人類の未来の為に重要なものだろう!?
それを一時の感情で棒に振るというのかっ!?
私はそんな男を好きになった覚えはない!」
「・・・・・っ!」
目を見張って動きを止めたエルヴィンは、
少しすると徐々に顔を赤くしながらナナシに問うた。
「それは・・・仕事をする私が好きだと受け止めて良いのか?
ナナシ」
「っ!!!」
その言葉で漸くナナシは自分が愛の告白をしていた事に気づき、
全身を真っ赤に染める。
――――恥ずかし過ぎるっ!!
ナナシが言い淀んでいると、冷静になったらしいエルヴィンは
覆い被さっていた身体を退け、ベッドに座り直した。