第10章 ナナシとの関係
ナナシはエルヴィンが執筆し発行した本の事を相当怒っており、
エルヴィンとハンジに罰として食事の準備をするように
強要したのだ。
それを今更「何で」と言われ、ナナシの怒りがぶり返した。
「ごめん!何でもありません!」
「じゃがいもの皮くらいいくらでも剥くから良い加減
機嫌を直してくれないか?ナナシ」
「お主達が一冊残らず例の本を回収して燃やせば私の機嫌も
良くなるぞ」
凄みを増した声にエルヴィンとハンジは恐怖に震えたが、
ここで言いなりにならないのがエルヴィン・スミスである。
エルヴィンは何とかナナシを丸め込んで、
公然とナナシとの関係を世に知らしめようと思った。
「ナナシ、そんなに私との関係を兵団内に知らしめるのは
嫌か?そんなに私が君に相応しく無いと・・・?」
「そのような事は誰も言っていない!・・・いや、やはり
言っている。別に他人に知らせる程のことではなかろう?
私は目立つ行為が嫌いだ」
「大丈夫。あの本は兵団内しか流通させてないから
問題は・・・」
「大有りだっ!兵団内だろうと無かろうと他人に色々
知られるのは好かん」
「何がそんなに恥ずかしいというんだっ!?」
「全部だっ!愚か者っ!!」
今回は取り付く島も無いようで、エルヴィンの惨敗に終わった。
じゃがいもの皮を剥きながらエルヴィンは泣き言を漏らす。