第10章 ナナシとの関係
渋々じゃがいもの皮剥きに戻ったエルヴィンに対して、
エレンはその場で固まっていたが、
「食事当番が代わったんなら暇だろ?食前の掃除に付き合え」と
リヴァイに言われ、引き摺られていった。
若人の恋路を邪魔するつもりはないが相手が悪かったなと、
こっそりほくそ笑むエルヴィンと、大人げないな~と
呆れるハンジが取り残され、せっせと手際良く食事の準備をする
ナナシを見遣った。
抜群のタイミングで話を遮ったナナシは、
もしかしたらエレンの思慕に気付いていたのでは・・・と
思ったが、鈍感なナナシに限ってそれはないなと
すぐにその考えを打ち消す。
それよりも剥いても剥いてもキリのないじゃがいもの用途が
気になった。
「ねぇ、ナナシ、こんなにじゃがいもの皮剥いて何に使うの?
まさか朝からこんなに食べるつもり?」
鍋でじゃがいものポタージュを作っていたナナシが
ハンジの問いかけに振り返ると
「それは夕食の分も含まれているからな」と事も無げに言ったので、
ハンジはゲッソリした。
「そんな・・・夕食の分は夕食の時やれば良いじゃん。
何であたし達がこんな事を・・・・」
「・・・何でだと?」
ピキッとナナシの額に青筋が立ち、
それを見たハンジとエルヴィンは「ヤバイ!」と思った。