第10章 ナナシとの関係
「恋人なんかじゃねぇよ、クソが。エルヴィンが勝手に
盛り上がって、ナナシが仕方なくそれに付き合ってやってるだけだ。
口が達者な団長様にナナシは言い返せねぇからな。
いつの間にかそうなっちまっただけだ」
「リヴァーイっ!?」
エルヴィンは「何を言っているんだ!?」とリヴァイを
睨みつけたが、彼は鼻で笑っただけだった。
リヴァイの言葉を聞いたエレンは「ほら、やっぱり!」と
鼻息を荒くする。
エルヴィンはそんなエレンの様子が引っ掛かり、
いつものように大人の顔を貼り付けて尋ねた。
「エレン、やけにナナシの恋人事情が気になるようだが、
それは何故だ?」
「えっ!?・・・それは・・・別に特に意味はありませんが・・・」
「本当か?もしもナナシに気があるのなら諦めた方が良い。
ナナシには忘れられない男がいるからね」
「・・・・・・・え・・・・・・・」
顔色が悪くなったエレンを見て、エルヴィンの嫌な予感が
的中したのだとわかり、更なる牽制を行う。
「しかも、ナナシの好みは金髪碧眼らしいから、
君は当て嵌らないだろう・・・痛っ!!」
エルヴィンの発言を拳で遮ったのはナナシで、
腰に手を当てながら子供を叱るように言った。
「無駄口叩いてないで、さっさとじゃがいもの皮を剥け!
でないと、食事抜きにするぞ」
「・・・わかった。君の指示に従おう」