第10章 ナナシとの関係
時折、突然繊細な心を見せるエルヴィンは年下から
向けられる哀れみを含んだ眼差しに居心地が悪くなり、
息を詰めた。
そこに
「おい、厨房で何たむろってやがる」
というリヴァイの声が響き、厨房内に漂っていた微妙な空気が
僅かに緩和される。
「「「おはようございます!リヴァイ兵長!」」」
エレン、エルド、オルオのリヴァイ班組が敬礼し挨拶すると、
リヴァイは手でそれを制し「あぁ」と返す。
「・・・で?こんな所で何やってやがんだ?」
「それが・・・・」
エルドが困ったようにナナシとエルヴィンを見た事で、
何となく事情を察したリヴァイに、エルヴィンが
詰め寄るように言った。
「リヴァイ!おまえからもエレンに教えてやってくれ!
ナナシと私が両想いの恋人関係だとっ!!」
「兵長、本当なんですか!?団長の話を聞いていると
胡散臭くて、とても信じられないんですが!」
面倒な時に来ちまったな、と心の中で溜息を吐いたリヴァイは、
全員を見回してから重い口を開いた。